海外ビジネス会食で自信をつける コース料理の流れとマナー
海外でのビジネス会食やフォーマルな場で、コース料理をいただく機会は少なくありません。料理が次々と供される中で、どのように振る舞うべきか戸惑うこともあるかもしれません。ここでは、一般的なコース料理の流れに沿って、ビジネスシーンで役立つ基本的なマナーの要点をご紹介します。多忙な中でも、これだけは押さえておきたいポイントを中心に解説いたします。
コース料理の一般的な流れ
コース料理の流れは、国やレストランの格式によって多少異なりますが、基本的な骨格は似ています。一般的な流れは以下のようになります。
- アミューズ(Amuse-bouche/Amuse-gueule): 食事の始まりを告げる、一口サイズの前菜。食欲をそそるためのサービス品であることが多いです。
- 前菜(Appetizer/Entrée): メインの前に提供される料理。サラダ、スープ、パスタ、テリーヌなど様々です。
- スープ(Soup): 温かいもの、冷たいものがあります。前菜に含まれることもあります。
- 魚料理(Fish): メインディッシュの一つ目として提供されることがあります。
- 肉料理(Meat): メインディッシュの二つ目、あるいはメインとして提供されます。
- デザート(Dessert): 食事の締めくくり。フルーツ、ケーキ、アイスクリームなど。
- チーズ(Cheese): デザートの前に提供されることもあります。
- コーヒー・紅茶(Coffee/Tea): 食後に提供されます。
- 食後酒(Digestif): 食事の消化を助けるとされるお酒です。
各段階でのマナーの要点
多忙なビジネスシーンでは、一つ一つの細かい作法よりも、全体の流れを理解し、失礼なくスマートに対応することが重要です。
共通の基本マナー
- カトラリーの使用: 外側から順番に使用するのが基本です。一度使用したカトラリーは皿の上に置きます。食事が終わったら、ナイフとフォークを揃えて皿の上に置きます。
- 食事のペース: 同席者やホスト・ゲストのペースに合わせることが大切です。一人だけ極端に早く食べ終えたり、逆に遅すぎたりしないよう配慮します。
- ナプキン: 着席したら広げて膝の上に置きます。席を立つ際は椅子の上に軽く置きます。食事が終わったら軽くたたんでテーブルの上に置きます。
- 会話: 食事中も会話は続きます。口に物を含んだまま話すのは避け、適切なタイミングで会話に参加します。
各コースごとのポイント
- アミューズ: 一口で食べられるように配慮されています。提供されたら、会話をしながら気軽にいただきます。
- 前菜: 使用するカトラリーを確認し、落ち着いていただきます。熱いものは冷ましながら、慌てずに口に運びます。
- スープ: スプーンを奥から手前に動かすのが一般的ですが、手前から奥でも間違いではありません。音を立てないように注意します。スープ皿を傾ける場合は、手前側を少し持ち上げるのがスマートです。
- 魚料理・肉料理(メイン): ナイフとフォークで一口サイズにカットしながらいただきます。一度に全てカットせず、食べる分だけを順にカットするのが一般的です。骨付きの魚や肉の場合は、焦らず身を外していただきます。
- デザート: デザート用のカトラリー(皿の手前に置かれていることが多い)を使用します。無理に完食する必要はありませんが、提供されたものへの感謝を示し、一口は試みるのが丁寧な印象を与えます。
- コーヒー・紅茶: カップは片手で持ち、ソーサーはテーブルに置いたままにするのが一般的です。スプーンはカップの向こう側に置きます。
全体を通して意識したいこと
- 給仕への対応: 料理の提供や片付けの際に、給仕の方が手を伸ばしやすいように、体を少し傾けるなどの配慮が大切です。
- 苦手な食材: アレルギーやどうしても食べられない食材がある場合は、事前に(可能であれば予約時などに)伝えておくのが最もスムーズです。当日伝える場合は、申し訳なさそうに、しかし明確に伝えます。「一口だけ」と勧められても、体調に関わることですので無理はしない方が良いでしょう。
- スマートフォン: 食事中のスマートフォンの操作は控えるのが基本です。どうしても確認が必要な場合は、同席者に断りを入れるか、席を外すのが丁寧です。
まとめ
海外でのビジネス会食におけるコース料理のマナーは、形式的な作法だけでなく、同席者への配慮やスムーズなコミュニケーションを促進するためのものです。今回ご紹介した基本的な流れと要点を押さえておくことで、自信を持って食事の場に臨むことができるでしょう。過度に緊張せず、リラックスして、貴重なビジネスの機会を最大限に活かしてください。